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現地研究調査学生体験レポート

 
 
 

企業班

「世界の工場」中国におけるものづくりを考える

企業班は中国有数の「ものづくりの町」である寧波で実習するにあたり、「世界の工場」と呼ばれる中国を支える製造業の実態について関心を持った。そこで、企業班として「『世界の工場』中国におけるものづくりを考える」という研究テーマを掲げることにした。この大テーマのもと、企業班を3つのグループに分け、寧波市のものづくりの現場から学べる具体的な研究課題をそれぞれ設定した。すなわち、「日中企業競争力の比較」、「寧波市の産業集積の特徴とその発展要因」、そして「中国製造業従業員の近況」である。
現地での訪問企業の選定にあたっては、寧波市から車で1時間圏内に所在する日中両国企業を対象とした。寧波の主要産業を代表し、操業年数が比較的長く、ものづくりにしっかりと取り組んでいる企業を訪問したいとの希望から、中国企業は寧波のみならず中国を代表する大手メーカーを、日系企業は日本の大手メーカー等が出資する三資企業を選定した。製造業以外にも寧波市全体の経済貿易状況を把握するために寧波市の政府関係部門を、寧波市での消費動向を考察するために日系アウトレット企業をそれぞれ訪問することにした。
具体的な調査方法としては、寧波での実習までに、日本での文献調査を中心とした企業概要、産業動向等の先行研究を進め、その内容を踏まえて現地での実習に臨んだ。
現地での企業調査は、当初7日間で15社・機関を訪問する予定だったが、台風襲来の影響で、6日間で13社・機関に縮小せざるを得なかった。しかし、訪問先企業・機関による周到な準備と、丁寧な対応のおかげで、所期の目的は十分達成できた。訪問時には、生産現場の見学のほか、各企業関係者から事業経営の現状と課題について簡潔にレクチャーしてもらった。そのうえで、各グループは事前に用意した研究テーマに沿った質問を行い、現場の状況理解を深めた。

(愛知大学現代中国学部中国現地研究実習委員会編『学生が見た寧波社会――企業活動・都市生活・農村社会』(愛知大学、2013年3月、第16頁)より抜粋。)

~実習中の「行動日誌」より一部抜粋~

8月4日(土)
いよいよ現地実習! 飛行機でセントレアから上海、バスで上海から寧波へ! 移動が長かったのとはしゃぎすぎたので疲れた。意外とホテルの周りが発展していて、スーパーやコンビニなどもあり、生活には困らなそう。そして、現プロの時に食べていた懐かしいお菓子を食べた。2週間頑張ります。

8月7日(火)
今日の企業訪問は吉利と雅戈爾の2社であった。少し早めの8時集合であったが朝食券を持ってバイキングでしっかりと朝食をとった。メニューは毎朝少しずつ変わっているので楽しみである。今日はチーズケーキがおいしかった。
吉利集団は敷地がすごく広かった。豊田市にあるTOYOTA本社を連想させたが、今日見た吉利は本社でないのにあの大きさだから驚きだ。時間の関係で生産ラインの見学ができなかったのが残念であったが、質問に対して丁寧に受け答えをしていただいて、とても嬉しかった。
雅戈爾集団も、外観がとてもおしゃれで、さすがアパレルのトップ企業だなと感じた。生産ラインを見学させてもらえて、たくさんの人が一人ひとり並んで机に向かい、担当する作業をひたすらこなすという、テレビでみたことのある光景を見ることができた。実際にその場所に足を踏み入れることができるなんて、とても貴重な体験だなと改めて実感した。

8月10日(金)
11時から杉井アウトレットを訪問。杉井アウトレットの外装は、日本の三井アウトレットモールととてもよく似ていた。杉井アウトレットで昼食。午後から訪問した重機(寧波)精密機械有限公司では、ミシン関連部品の工場見学をさせてもらった。移動中、道路のいたるところに冠水していて、今回の台風がこんなにも凄かったのかと思い知らされた。また寧波の下水インフラの悪さもうかがえた。
夕食は、企業班のみんなで中華のファーストフードで食べた。中国の味には、現プロに行っていた時にだいぶ慣れていたので、今はどんなものでもチャレンジできる。あと半分の寧波市での生活を楽しみたい。

8月12日(日)
今日は唯一の全日休みだったので、企業班の3人と寧波大学の呉さんと4人で遊びに行った。呉さんに連れていってもらった城隍廟という建物には偽物のブランド品や安い物が売られている店がたくさん入っていて、私たち3人は中国らしさを満喫した。そこで400円程度のワンピースや1,300円程度のスピーカーを買えたのでとっても満足! 呉さんありがとう~\(^o^)/

8月16日(木)
今日はリハーサル!
みんなで作り上げたパワーポイントもいい感じ!!
あとは原稿をしっかり発音できたら完璧だと思う。でもやっぱりステージに立つと緊張する!!
トップバッターがんばります!
企業班頑張ります!

8月17日(金)
いよいよシンポジウム。企業班は発表の順番が一番最後で、昼食を食べた後だった。食事がのどを通らないくらい緊張したが、連日遅くまでの練習のおかげもあってかスムーズに発表することができた……気がした(笑)。そして報告会の後は交流会!
日中双方の学生の余興は大いに楽しめた。そして、寧波大学の学生とは今日でお別れ、泣きそうだったのは秘密。2週間ありがとう!
また会おう!

8月19日(日)
帰国の日を迎えた。朝早くから荷物をまとめ、ホテルを出発した。2週間もいると、ホテルを離れるのがとても寂しいと思われる。また、同室の子、企業班のみんな、付き添ってくれた通訳の学生とも、明日からなかなか会えなくなると思うと、帰国が待ち遠しかった反面、帰りたくないとも思った。行きと同じく長いバスの移動で空港に向かい、飛行機に乗って無事、日本に帰国することができた。
この現地実習はハードスケジュールで、とても大変であったけれど、それを乗り越えて皆で一つのことを成し遂げることができ、密度の濃い、充実したものとなった。この実習を通して皆がそれぞれに成長することができたのは、間違いないであろう。

(愛知大学現代中国学部中国現地研究実習委員会編『学生が見た寧波社会――企業活動・都市生活・農村社会』(愛知大学、2013年3月、第51-53頁)より抜粋。)

都市班

教育・娯楽・養老から見る寧波市民のライフスタイル

都市社会班は、自分たちの調べたい項目をもとに3つの班に分かれた。寧波市民の生活スタイルを流行から読み取り調べる「娯楽班」、寧波市の素質教育の実態を調べる「教育班」、現在問題視されている高齢者問題について調べる「養老班」である。これらを調べることにより、寧波市市民の全体的な生活をより詳細に知ることができ、なおかつ寧波市内で発生している動向を明確に知ることができるからである。
調査方法はインタビュー調査で、各自の疑問に思うことを書き出し訪問先で直接質問して情報を得ていくという形式をとっている。
(愛知大学現代中国学部中国現地研究実習委員会編『学生が見た寧波社会――企業活動・都市生活・農村社会』(愛知大学、2013年3月、第56頁)より抜粋。)

~実習中の「行動日誌」より一部抜粋~

8月4日(土)
予定より15分早く着いた上海浦東空港(耳がめちゃくちゃ痛かった(ToT))を経てバスに乗ること3時間!
37kmの世界最長の杭州湾海上大橋を渡って寧波市に着きました。天津での現プロから約1年ぶりの中国♪天津より寧波市の方が緑豊かな気がします(夏だからでしょうか?)。現地実習期間中、気温が高めな日が多いと聞きましたが、どのようなものでしょう?
とりあえずバテないように頑張ろう! 美味しいものはあるかな?
これからどんな現地実習、どんな中国生活が始まるのでしょうか?
とりあえず、ホテルのシャワー&トイレ室の側面がガラスでびっくりして、そのガラスにキャラクターのシールが3枚貼ってあったのにびっくりした初日でした(笑)

8月6日(月)
今日から本格的な調査活動が始まりました\(^o^)/都市社会班の記念すべき1ヶ所目は寧波市の街道の在宅養老互助センターです。日本語を学んでいる老人の方々が日本の歌を歌いながら迎えてくれて、すごく楽しく交流できてよかった^^でも体調を崩した人もいたので気をつけなければ((((;゚д゚))))

8月9日(木)
社区と青少年宮を訪問しました。今回は環境の良い社区を訪れたので中国で問題になっている貧富の差はありませんでしたが、国民のために努力している姿が感じられました。また青少年宮では、子どもと授業を体験できなかったので残念でした。しかし現地実習を良い経験にしていきたいです。

8月12日(日)
寧波に来て、8日が経ちました!
今日は、家庭訪問2日目。午前、午後に訪問した家はどちらも日本にあっても驚かれるくらいの豪邸でした。老後の不安について質問すると、どの方もお金で何とかなるので不安なことは一つもないと言っていました。道で物を売ってぎりぎりの生活をする人もいれば、このように裕福な家庭もあることを実際に自分の目で見て、改めて中国の格差社会の現実を確認することができました。

8月15日(水)
発表の日本語原稿が昨日完成し、中国語へ。日本語の原稿が少し長くなってしまった。先生は「中国語にしたら、短くなるから大丈夫」とのこと。がしかし、あんまり減らなかったよ~。そんなに長く中国語を話したことがない私。大丈夫か……。不安に思いながらもパワーポイント作成。とはいえ、8月4日から始まった今回の現地実習。シンポジウムの準備をしているってことはこの現地実習ももうすぐ終わりなのか、と思ってしまいます。台風で"休息"の日が早まったり、ホテルの前にくるぶしくらいの深さの水が溜まって驚いた日もありました。今回も中国でいろんな思い出ができました☆何より良かったのは学生アシスタントをしてくれた寧波大学の学生たちとの思い出で、みんな良い人たちでお昼も一緒に食べに行ったな~。また帰る時寂しいんだろうな~と思いを馳せつつ、気づくとシンポジウムのパワーポイント作成に追われていた今日一日でした。

8月16日(木)
今日は発音の練習と報告会のリハーサルをしました。リハーサルの時間は1人に対して3分くらいしかなかったので、速く話せるかどうかばかり気になってしまい、丁寧に発音することができませんでした。リハーサルの後は、明日の報告会までに報告書を6分以内に読めるようにしなければいけなかったので、読む練習をするのがとても大変でした。夜には5分半くらいで読めるようになっていたので、とても嬉しかったです!

8月17日(金)
自分たちの調べたりまとめたりした集大成をしっかりだすことができました!
みんなの発音や調査内容は、出国前よりもすばらしい出来になっていたと思います。またシンポジウム後の宴会で、下手な中国コマを酔った勢いで、しかも即興でやったのですが、みんなが楽しんでくれてホントに良かったです!
また寧波大学の学生との別れは涙の別れで、とても感動的だったし心をこめたプレゼントをいただいたりと、思い出に残るエピソードがたくさん詰まった1日でした!!!

8月19日(日)
今日はいよいよ帰国の日。2週間で現プロよりは全然短いけどやっぱ別れは寂しいですね。昨日までにいろんな人とばいばいしたけれど、もう涙うるうるでした。みんなとはまた秋学期から会えるけどそれまで寂しいですね。シンポジウムの準備とか辛かったけど、都市班のみんながいたから乗り切れました。この現地実習はほんとうにいい経験になりました。みんなありがとー!!

(愛知大学現代中国学部中国現地研究実習委員会編『学生が見た寧波社会――企業活動・都市生活・農村社会』(愛知大学、2013年3月、第91-93頁)より抜粋。)

農村班

都市化する農村と浙江第一の漁村

近年、農村は都市化をめざした街づくりをしている。それは今回訪問した、寧波市の奉化市蕭王廟街道滕頭村、象山県石浦鎮東門漁村、江北区洪塘街道裘市村も例外ではない。
滕頭村は農業から工業への産業構造の転換を図って発展し、貧しいイメージしかなかった農村が旧村改造と工業化によって裕福になった成功例である。裘市村も同じく工業化を行い発展したが、その過程と結果は滕頭村とは大きく異なっている。東門漁村は今回私たちが訪問した村の中で唯一の漁村である。勿論産業も漁業を中心とし、村の発展も漁船や漁獲法の改善、漁産品価格の急速な上昇によって、経済発展を遂げた。
農村班の目的は、異なる発展の仕方、産業構造を持つ3村の発展の歴史、発展した理由、現在直面している問題と、村と村民の生活環境、意識などの変化を比較し、分析することである。
8月6日から9日までの4日間は滕頭村、11日から12日は東門漁村、13日は裘市村に滞在して調査した。調査方法は、現地の村民委員会や企業等への訪問と聞き取り調査、戸別訪問による村民への聞き取りである。滕頭村では、村民委員会で村の概況を聞き、老年活動中心や生態楼(環境エネルギーの開発、研究を行う施設)を参観、愛伊美集団での工場見学と聞き取り調査、4戸の家庭を訪問して漁民にインタビューした。裘市村では村民委員会と3戸の家庭を訪問。戸別訪問ではとれたての新鮮な果物をいただき、村民の実際の生活環境をみることができた。
(愛知大学現代中国学部中国現地研究実習委員会編『学生が見た寧波社会――企業活動・都市生活・農村社会』(愛知大学、2013年3月、第56頁)より抜粋。)


~実習中の「行動日誌」より一部抜粋~

8月4日(土)
約1年ぶりの中国、懐かしい!
とはいっても南に来ているので、色々と習慣や文化が違っていて慣れるのに時間がかかるかも。やっぱり暑い!
体調管理には気を付けていきたい。特に農村班は他の班に比べ漁村や山村まで足をのばすので体力を消耗しやすい。気を抜かずにがんばろう。

8月7日(火)
農村に来て2日目。農家訪問へ。最初の農家訪問だったこともあり、うまくいかず、質問を大幅に変更。それから村内の生態区の視察。台風が来ていて風が強かったけれど、なんとか一通り生態区を視察しスケジュールをこなすことができた。午後は2つ目の農家を訪問。そして午後は宿に戻りしばし休息。停電が何度も起こって予定を少し変更することになったけど、なんとか乗り切ることができた。

8月9日(木)
朝早くに起きて老人の聞き取り調査へ! 朝早くから老人たちは元気に清掃活動にはげみ、台風の後片付けをしていた。老人には普通話が通じない場合が多く、上手く聞き取りができないことが多かった。聞き取りの後に朝食を軽く済ませて、生態楼の視察へ。生態楼も停電していてとても暑かった。お昼はザリガニが出てきてびっくりしたが、意外においしくてたくさん食べることができた。午後は寧波のホテルへ戻り、休息。夜は日系企業の方と会食をし、普段聞くことのできないようなお話をうかがうことができた。今日は朝が早かったので、ゆっくり休んで、明日もがんばりたい。

8月11日(土)
朝3時間かけて石浦の東門漁村に到着。まずは宿にチェックイン。それから「海辺人家」という店で豪華なご飯をいただいた(現地の方の奢りで!)。料理は薄味だったので、日本の味付けに似ていてとってもおいしくいただくことができた。午後からは村民委員会と漁家へ聞き取り調査をしに行った。

8月14日(火)
今日は今まで調べたことをパワーポイントにまとめたり台本を作ったりした。夜に新しいご飯のお店を開拓しに行った。意外とおいしいお店だったから明日も行こうと思う。

8月16日(木)
いよいよ最後の大詰め。寧波大学の子たちに発音を見てもらいながらひたすら原稿とにらめっこ。午後にリハーサル。今日もパワーポイントの作業に追われてしまった。明日はいよいよ本番。

8月17日(金)
ついに本番。今日までに練習してきた成果が出し切れるように、全力で取り組んだ。農村班はトップバッター。以前の発表よりも比較的スムーズに進めることができた!
宴会ではむちゃぶりされたけど、それもいい思い出になりそうです。

8月18日(土)
今日は紹興酒で有名な紹興市に小旅行へ!
魯迅の故郷を見物。紹興市の特産品である「臭豆腐」という匂いのきつい豆腐に思わず鼻をつまんでしまった。現地でご飯を済ませ、13時頃には帰宅。残りの午後は寧波市の散策を満喫! 明日はいよいよ帰国。

8月19日(日)
帰国日。今までお世話になったたくさんの人たちのことを考えると感謝の気持ちと寂しさで複雑な気持ちになった。実習は厳しくて、嫌になることもたくさんあったけれど、参加して本当に良かったと思った。日本でも気を抜かずに頑張りたい。

(愛知大学現代中国学部中国現地研究実習委員会編『学生が見た寧波社会――企業活動・都市生活・農村社会』(愛知大学、2013年3月、第125-126頁)より抜粋。)